第六章

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 この異空間に放り込まれてから一週間が過ぎた今、私は脱走の為の作戦を練り上げ、完成させていた。

 叶恵曰く、紅はこの建物の一番偉い人、つまり社長で、蒼穹はこの株式会社の隣にある大きな病院の院長だという。

 早い話がエリート兄弟だった。

 そして叶恵からの情報では、蒼穹は一日に三回この部屋にご飯を運ぶため、私たちに薬を射つために訪れるとのことだった。

 それから私が数え、脳内でしっかり記録した結果、その情報は間違いではなかった。

 蒼穹が毎朝持参する新聞紙で朝を確認し、紅がこの部屋に戻ってくることで夜を確認できる。

 食事や薬の投与は蒼穹の仕事らしく、あの男は毎日欠かさず三回、この部屋に姿を現す。

 朝、おそらく出勤する前に一度と、昼休みか何かの休憩中にでも病院を抜け出し、ここに来る。

 時計はおろか、太陽さえ見えないこの部屋では時間の流れは止まっているように思え、正確な時間は把握できない。

が、朝と夜を把握できるだけで私にとっては十分だった。

 日数を数えられるだけで、希望が見えるから。


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