最初で最後の恋をしました

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「愛してます」
「大好きッスよ」



貴方はいつもそう言いました。
深くかぶった帽子で表情を隠して
その帽子で隠したのが、照れかそれとも嘘かなんてどうでも良いのです。
ただただその言葉が聞きたいと。
貴方のそのやわらかな声で。


貴方と私は全く別の"もの"で、私は人で貴方は死神。
見た目という見た目は何一つ違わないというのに。
なかは全く別で貴方には驚異の能力や、異常なまでの知識や、あまりに長い命がありました。
私には貴方の持っているものを何一つないというのに、貴方は私を愛してくださいました。
とてもとてもうれしくて、
とてもとても幸せでした。






「喜助さん喜助さん。」
「はい、何でショ。亜妃さん。」
「もしもこの先、私より愛しい女性ができましたときは、迷わず私をフってくださいね。」



私と貴方は違いますから。
今は貴方より若いですが、30年もたてば見た目だけとはいえ、貴方より年上に見えるようになるでしょう。

肌にはしわやしみができて、頭には白髪が。
50年もたてば私と貴方は母と息子にすら見えるようになるでしょう。
そんな未来を想像して、私は泣きそうになりました。
貴方は依然として美しいままであるのに、私だけがどんどん年老いているということに。
年老いた私が、貴方の負担となることに。


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