愛しさ

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「…沖田さん、具合どうですか?」


目を覚ますと、いつも君がいる。でもその顔は悲しみに溢れていた。まるで自分のことのように。

「大丈夫。平気だよ。」

そう声をかけてやれば、君はほっと胸を撫で下ろすように頬が緩んだ。

君は、つくづく変な子だ。
前に僕が羅刹の発作で苦しんでいた時、迷わず血を与えてくれた。
僕が飲み終わり、君を見ると、君は微笑んでいた。

そんな君が、由美ちゃんが、愛おしいと思いはじめたのはいつからだっただろう。

「どうしたんですか?沖田さん」

「由美ちゃんは、どうしてここまでしてくれるの?」


僕は、聞きたいと思った事を素直に聞いた。
でも君には予想外だったみたいで、あわてふためいている。

そんな顔されると、意地悪しなくらるんだよ。堪らなく、ね。

「ねぇ、どうして?」


「そっ、それは…えっと。」


ねえ、由美ちゃん。素直に言いなよ。変なごまかしはしないで僕が、沖田さんが好きだって、言いなよ。

僕は俯く君の顔に自分の顔を近づける。
君は驚いて後ずさるけど、残念。後ろには壁があるね。
さあ、君はどうするんだろう。

「ぉき、た…さんっ、」


「ねぇ、答えてよ?由美ちゃん。」


さらに迫ると、君は目線を反らして、もごもご言いはじめる。

「それ、は…沖田さんが…好きだから」



僕は、この時舞い上がるくらい嬉しかったけど、もう一度君の口から聞きたくて意地悪をする。君が愛おしくて堪らないから。


「聞こえないなぁ?悪いけど、もう一度言ってもらえる?」


「ぇっ…!」

小さい悲鳴を出した君は可愛くて、このまま唇を奪ってやろうと思うくらい。
でも、まだまだ。




「…私、は…沖田さんが好きです、っん!!!」


僕はもう我慢できなくなってそのまま唇を押し当てた。
僕は由美ちゃんの口をこじ開けて舌を絡ませた。


「はっん…っん…」


由美ちゃんの唇は熱を帯びているから、ちょっとは興奮してるのかな?

僕は、そんな君の姿を見ているとさらに欲張りになる。

それに、もし僕がこの先何かあったりして、君を一人にしてしまうことがあって、君に僕を残せないのは悲しい。…そう思った。

弱気な発言だけど、これは一人の男としての、願い。



唇をはなすと君は頬を染めて、目が潤んでいた。


僕は君に、僕を残したい。






「由美ちゃん、僕は君が好きだよ。」







僕が愛の言葉を放つと君は頬を尚一層真っ赤にして、口を開閉する。そんな仕草も可愛くて、僕はそっと囁く。



「このまま…いいかな?」



これは単なる願い。今、僕は口付けさえできれば、いいんだ。



出来るならこのまま由美ちゃんを僕のものにしてしまいたいけど。

無理矢理やって愛想をつかされたら、さすがの僕も悲しいから。

返事は決まってる。その時は、冗談といってごまかすつもりだからね。


「いいかな?」


中々返事をいわないからもう一度聞くしかない。

ほら、早くいいなよ。
嫌だって…。


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