蜘蛛の糸
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私はこの新選組の二番組副組長。ちょっとした事情で女だが副組長をやることになった。
自分で言うのも正直気が引けるが私は刀の扱いに自信がある。
それが認められたのか私は大抜擢された。
初めはよそよそしい新選組の幹部達だったが、次第に溶け込んでいくことができた。
そのとき、優しくしてくれたのが永倉組長と原田組長。
二人とも私に気をつかってくれていたのか私と話すときはいつも笑顔だった。
多分、この二人のおかげで私は馴染むことができたのだと思う。
それから一年。
私と永倉組長と原田組長の関係は変わらず。
と、いいたかった。
その理由は半年前の事。
私は原田組長と一緒に縁側で会話をしていた。
別にその会話が変とかそういうことではなく、普通に何気ない会話を。
「原田組長、あのですね…」
そうまた口を開いたとき
「ぃっ…!」
私の腕は何かに力いっぱいひかれた。
私は自分のうでを目でたどっていくと、そこにはごつごつとした男の人の手が絡まれていた。
その手は、永倉組長のものだった。
「っ、!」
力づよく捕まれているせいで私の皮膚は歪んでいて、潰されているような痛みがともなう。
私は永倉組長を見上げると今までに見たことのない険しい顔していた。
「なんだよ新八。そんなおっかねぇ顔してよ。」
原田組長が声をかけると永倉組長はいつものように白い歯を見せて笑う。
「わりぃな。俺、こいつに話があってよ―。」
口調も声もいつもと同じ。
でも
私をつかんだ手の力が緩められることはなかった。
私はそのまま引きずられる様にして永倉組長の部屋につれてかれた。