あなたがあまりにも可愛いので
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授業終わり。身体の倦怠感が半端無い。熱があるのかな、頭がぼうっとする。
クラスメイトに心配かけないようにそっと教室を出て寮に戻る。
風邪薬を飲まなくちゃとか何か冷たいものがほしいなと思ったけど、全く動く気にならなくてそのままベッドに倒れこんだ。
カタン
ドアの開く音で少し意識が戻る。
どれくらい経ったのか、窓の外は暗くなっていた。
開いたドアから漏れる明かりが眩しく、私は目を細める。
逆光だけどシルエットでトキヤ君だとすぐわかった。
再びカタンとドアが閉じられて部屋が真っ暗になる。
カチカチッと間接照明がつけられる音。
部屋が暖かい色に照らされたのに、それをつけたトキヤ君を見るととても悲しそうな顔をしている。
「何をしているのですか。こんなに汗をかいて…風邪をひいたのなら、私を頼って下さい」
『トキヤ君…』
そっと私の額を撫でたトキヤ君の手は冷たくて気持ちよかった。
「あなたのクラスメイトにフラフラしながら寮に向かっていたと聞きました。無理はしないでください。あなたの身体が心配です」
『ごめんね…心配してくれてありがとね』
そしてトキヤ君が着替えやご飯を用意してくれて。
「しょうがないですね」といいながらおかゆをアーンしてくれた。
薬も飲んで、布団に潜り込んだら眠気が襲ってきた。
「ずっと側にいますから、寝て下さい」
そんな悪いよ、と言おうと思ったけど、それよりも眠気が勝ってしまいこてんと眠りに落ちてしまった。
頭に何か感触があってふと目が覚めると、トキヤ君が驚いた顔をして私を見下ろしていた。
「すみません起こしてしまいましたね。ぐっすり眠っていたので熱はどうかと思い額を…」
『ううん、気にしないで。さっきより随分楽になったよ。それにトキヤ君の手気持ちいいし』
私はトキヤ君の冷たい手を奪って額や頬、首筋に宛がった。
『あんっ、きもちいぃ…』
「ちょっと、理奈…変な声出さないでください」
『ごめーん、でもトキヤ君の手ちょうどよくて』
トキヤ君が困った顔をしている。
でもお構いなしの私。熱でどうかしてるかな。