体の関係が優先される付き合い

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始まりは、ほんのちょっとの勘違いからだった…

「家庭を壊さない程度の付き合い」

その言葉の意味を、お互いが取り違えた。

職場の忘年会で二次会のカラオケが終わり、

そろそろお開きか?そんな空気が流れていた。

飲み散らかしたグラスを集めたり、本を揃えたりと、

カラオケルームの片付けをしていた私は、

いつの間にか置いてきぼりをくっていた。

気が付くと、コートを着かけている彼と二人きり…。

ちょっぴりどぎまぎして、そそくさとその場を去ろうとした。

リモコンを手に持ち視線を落として、

さりげなく彼のわきを通り過ぎる…はずだった。

足元の視界に前から誰かの足が近づいてきた。

そう認識した瞬間、私の唇がすくい上げられるように唇で持ち上げられた。

彼の唇で…

体が凍りついたようにこわばる。

彼は私の腰に手を回すと、

引き寄せて唇を強く押し当てながら、

舌を入れようとしてきた。

久しくディープキスから遠ざかっていた私は、

喉の奥が締め付けられるような感覚におそわれて、

応じる事が出来なかった。

ゆっくりと唇が離れ体が解放された。

「びっくりした…」少しよろめきながら彼から離れ、

照れ隠しに前髪をかまいつつ、ほんの一瞬彼を見た。

が彼の表情はよくわからなかった。


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